Ghost Lovers


窓の外を見ると、雨はいつの間にか止み
遠くの空に虹がかかっている。

相変わらずの曇り空だが、向こうの方は青空だった。


「雨も止んだし…私、失礼します。」
「え、いいんですか?」


えぇ、と貞子はここにきて初めて
柔らかな頬笑みを見せた。


「人間と話すのも、もう随分久しぶりでした…
 小町さんに会えてよかった。」


貞子はタオルを握りしめて、ありがとうと
私と凜に頭を下げる。
そんな彼女を見て、私たちは顔を見合わせて笑った。


「私も…よかった。」


私と貞子は、お互いに頬笑みを交わす。
そのまま扉から出ていく際に
貞子は一度振り返って言った。


「ここのこと、宣伝しておきます。」


その言葉に、凜は嬉々とした表情を見せたが
私の顔は思わず引き攣った。


「では…」


パタン、と扉が閉まる。
玄関まで見送ろうと扉を開けると、
長いはずの廊下には、もう誰一人いなかった。