「お、おお驚きましたか……?」
ギュッと両手を胸の前で握りしめて
貞子は私を見つめる。
口を隠せばきっと美人に見えるだろうに、
彼女の口はまさに妖怪そのものだった。
その言葉に、否定なんてできない。
私は恐る恐る頷いた。
「す…少し…」
少しどころではない。
そりゃもう、心臓が止まるかと思った。
実際今も、傍に凜がいなければ
すぐに叫んでこの部屋から飛び出したい。
やっぱり妖怪は妖怪だ。
パッと見て普通に見えたって、凜や喜代がそうであるように
この女性は見たままから妖怪。
急に現実を思い知らされたような気がした。
「そぅ…ですよね…ぇ」
弱々しい、消え入りそうな声で言って
貞子は悲しそうに目を伏せた。
