Ghost Lovers


漆黒に塗られた、長い爪。
鋭い彼女のそれが、顔を隠していたマスクに触れる。
貞子、と名乗った目の前の女性は
にんまりと目が笑っていた。


(―――怖い―…!)


「きゃ………もごっ?!」


絶叫しかけた私の口を、急に後ろから塞がれる。
両手で覆うように閉ざされて
言葉を発することができない。

そちらに気を取られているうちに
すっかりマスクは床に落ちていた。




「従業員が失礼いたしました。」