「今なら、オレ達と関わった期間が短いから 匂いもすぐに消える。」 「”フツー”に暮らしたいとか、思わねぇの?」 ズキン、と胸が痛んだ。 理由は分からない。 でもきっと――私の心のどこかでは、それが図星だから。 今日妖怪に訳も分からないまま襲われて 怖くないなんて言ったら嘘に決まってる。 でも、でも――… 「…思うよ、」 「じゃあ――「でも、やだ。」 「は……?」 こちらを振り返った楼の視線が、鋭く光った。 意味が分からないといった様子で私を睨む。