「ただの人間じゃないと――妖怪の誰もが分かるだろう。」 「今のお前からは悪魔の匂いがぷんぷん漂ってくる。」 匂い。 今までの私になくて、そして今の私に必然的にあるもの。 普段と何も変わらない。何も感じない。 でも私の気がつかないうちに、 私は闇の世界に簡単に足を踏み入れていたんだ。 「普通の人間には、あり得ねぇ”匂い”がな。」 もう、元の世界には戻れないのだと 狼は無情にも付け加えた。