何を言おうとしたのか、何だか思いだせない。 そうだ――私、妖怪に襲われて… 妖怪に、襲われて? 「楼っ!!!」 「あ゛ぁ?!急に大声出してんじゃねぇーよ!」 「私っ!私…」 バシバシと背を叩いたことに牙をむいて こちらを睨む楼は、 私の言いたいことを読み取ったのか、また前を向いて言った。 「…あの妖怪なら俺が食った。」 「食っ……?!」 静かに、さらりと。 至極当たり前のように。