ゆっくりと体を起こすと、段々はっきりとしてくる頭。 そして…理解し始める状況。 「ここ――……って、え、わぁっ?!」 「やっと気がついたかよ…」 声の主は、狼化した楼だった。 彼の背中にいつの間にか私は横たわっていたようで 私の驚愕の叫びに、鬱陶しそうに楼は顔を顰めた。 「ろ…楼、さん。」 「楼でいい。」 「わ、私…」 映画に出てくる山犬のように巨大化した狼の姿。 私が買った荷物も全て、楼の背中に乗っていた。 重たいはずのそれらと私を乗せて 彼は軽々と森を駆け抜けていく。