にんまりと、裂けるように笑った口。 大きくガバッと開いた先に 人間離れした牙が見えた。 「”見える”人間は久しぶりだァ……!!」 (食べられる―――…ッ!!) 薄っすらとしか見えない視線の奥、 目の前の妖怪の後ろに 一匹の見覚えのある漆黒の狼の姿を見た気がした。 「さっそく目をつけるとは、中々鋭い奴だなァ。」 私はそこで完全に意識を失った。