Ghost Lovers


「くっそー……?」


ふと、店の入り口で一人で立っている男の人と目が合った。
年は二十歳過ぎだろうか。
ただ何もせず、その場に立ち尽くしてこちらを見ている。


(何だろう…?)


男性を横目に、その脇を通り過ぎようとした。
そのとき、突然ふっと片手が軽くなる。


「え――…?」



「重そうだ。持ちますよ。」



私の背後に立っていたのは、その男性で。
巻かれた深紅の絨毯を軽々と持ち、
もう片方の手をこちらに差し出していた。



――誰だろう?


見覚えは無い。
でも雰囲気がとても優しそうで、不思議と初対面という感じがしない。