企むようにニヤリ、と笑って 呆然と戸惑う私の手を取った。 「じゃっ、お家で待ってろよ凜!」 「ちょ、ちょちょ…っ!!」 そんな突然!! 叫ぼうとしたのに、 そのまま私は楽しそうな楼に手を引かれ、 階段を駆け下りていく。 その場に取り残された凜が すれ違いざまに小さく私の耳元で呟いた。 ”気をつけろ” ”近づいてくるもの―――全てに” 「凜…っ?」 寂しそうな凜の顔を焼き付けて 私は楼に引かれるまま、屋敷を飛び出した。