お父さんとこうして向き合うのは、ずいぶん久しぶりな気がする。 仕事が忙しく、日曜日でも家にいなかったり、一緒にご飯を食べたりするタイミングがなかなか合わなかったから。 「藤本さん。検査の時間ですよ」 ちょうど一切れ食べ終わった頃、車椅子を押した看護師さんが病室にやってきた。 「じゃ、あたし行くね」 「なんだ。もう行くのか?今来たばかりじゃないか」 「だって検査の時間なんでしょ?それに、着替え持ってきただけだし」 一人でここにいたってつまんないしね。 「……彼に、会いに行くのか?」