コンコン


「お父さーん。きたよー」

ノックしてからドアを開けると、お父さんは上半身を起こしてベッドに座って雑誌を読んでいた。


あいさつしようと思ったけど、相部屋の他の患者さんは検査にでも行っているのか誰もいなかった。





「おぉ、悪いな」

「ホントだよ。まったく、人騒がせなんだから……」


ブツブツ文句を言いながらも、あたしは笑いながら近くのイスに腰を下ろした。