華の咲く場所

「いつ、わかったんだ?」

「今日ですわ。あんまり生理がこないので、紹英さんと一緒に病院に。」

「ということは」

「屋敷のみんなも知っておりますわ。みんな祝ってくれました」

「俺は誰にも何も言われなかったぞ」

「だって、私から伝えたいから、内緒にしてください、とお願いしましたもの」

どうりで何かおかしいと思った、とまた大きなため息をつく彼は、事務的なことばかりを聞いてくるたから、不安になった。

「みんな、みんな喜んでくれましたわ・・・。でも、私が一番喜んでほしい、紅藤様、は・・・喜んではくださらないんですの・・・?」

私の不安を推し量ったのか、いつものように笑い、でもかみつくような優しい口づけをくれた。

「そんなわけないだろう!・・・嬉しいさ!嬉しくて仕方なくて、どうしていいかわからないんだよ・・・」

言いながら、顔中に、降ってくるような口づけをくれた。

「・・・まぁ。もっと、思っていらっしゃることを伝えて下さればいいのに・・・」

そんな私の無神経ともとれる言葉で、彼の心のどこかの箍が外れたらしい。

たまに紅藤様が興奮した時にする、怒涛の宣言が始まった。

「買わなければいけないもの、確かにたくさんあるな、でもお前一人で決めるな、俺にも一緒に決めさせろ。そうとなると確かに金はいるが、そんなことは心配するな余裕は十二分にあるんだから。

 名前はどうしようか、お前は10カ月も俺より先にその子を一人占めするんだ、名前くらい俺の好きにさせろよ?いやまずそれよりも男か、女か、どっちだろうなぁ?

 ちゃんとこの子が生まれるまでは我慢する、それにもちろん他の女のところになど行くものか、だからお前はこの子を産むことだけを安心して考えていろ、お前の負担になるようなことはしないから。ただ子が生まれてからは覚悟していろよ?

 お前があまりにも大変になるようだったら人を増やすから、だから、俺のことをないがしろにはしないでくれ・・・。」

私が言ったことに対して順番に、思いつくままに言葉を並べたのだろうけど、最後に私が言ったことが気にかかったらしく、怒涛の宣言は気弱な発言で不発弾のように幕を下ろした。