「もう雪の季節なのだね」

寝台に入り私を抱きこんで、窓の向こうでふぶく雪を見ながら、なぜだか感慨深げに紅藤様は言った。

「尋を殺した時も、こんな風に吹雪いていたな・・・違うのは、お前が俺を愛してくれていることだけだ」

突然発せられたことにびっくりする以外の行動を起こせなくて、ただただ目を大きくて紅藤様を見ると、彼は寝台わきのランプに明かりを灯した。

「忘れてしまったのでは、なかったの・・・?」

私の考えを話したことなどなかったから、それだけでは意味を理解できないだろうと思ったけれど、彼にはそれで伝わったらしい。

「誰もそんなことは言っていないだろう?」

おかしそうにくすくす笑いながら上半身を起こして、私をその腕の中に起こして閉じ込め、その上から布団をかけてくれた。

「お前は、気付いたのだろう?俺が、尋が殺そうとした男だということ。」

あまりに優しく抱きしめて、優しく話しかけてくれるから、「・・・はい」気負いなく話すことができた。

「貴方を撃った前の日に、貴方の眼鏡いえを落としてしまって・・・その時に、尋が持っていたものがその中に隠されていることを知って・・・その晩、考え当たりました。」

「そうか、やはり朱蘭は、頭がよかったのだな」

そんな、甘い発言をして私の頭を愛おしそうになでるこの人は、とてもとても、美しかった。


「昔話を、しようか」


紅藤様は、窓の向こうを、何か決意したように、眺めていた。