病院へ向かう車の中で自分のしたことへの後悔がより一層深まっていった。

私は、どうしてあんなふうに考えてしまったの。確かに最初はとてもとても強引だったけれど、今ではこんなにも愛してくれているのに。

愛してた、だなんて、初めて言われたけれど、あの人の行動から、そんなこと一番わかってないといけないのは自分だった。

だって、愛してくれていなかったというなら、どうして大枚を払ってまで私を身受けしたの、どうして私にあれだけの装飾品やら嗜好品やらモノを与えたの、どうして鳥籠に閉じ込めるように私を屋敷にの奥に仕舞っていたの、どうしてどうしてどうして。

どうして―――私が紅藤様を撃った時、私をかばうようなことなんてしたの。

紅藤様のその行動のおかげか、屋敷の人間は私が何かしたとはつゆほども思っていないらしく、ピストルの手入れ中の暴発だと思い込んでいる。

日ごろ、あれだけ仲睦まじく夫婦をしていれば、そんなことは思うわけがないかもしれないけれど。

紅藤様に触れられたときに抱いた嫌悪感は、彼に対して抱いたのではなく、私に・・・私の、尋へのわけのわからない妄執に対して抱いたものなのだろう。

あんなにも私のことを大切にしてくれている人に対して考えたことを、なんと情けないと思う正常な心が、それを生み出したんだろう。

それをあんなふうに勘違いするなんて・・・本当に、何て、情けない・・・。

何気なく見ると、私の心の中のものがあふれだしたみたいに、窓の外は冷たい雨が降っていた。

紅藤様は、私が尋の―――彼を殺そうとした男がおとりに使った、あのときの女だって、わかっていたのかしら。

いつだったか、私に、まだ復讐をする気があるのかと問われたような覚えもあるし・・・きっと今日みたいな日が来ることを、私よりもわかっていたのかもしれない。

だから私が彼を撃った時、あんなにも冷静に事を対処したのかもしれない。