「奏空、どうする…?もう帰るか…?」

身体への負担という意味からなら、まだ少しだけ時間はある。
けれど、このままここにいては、第二の舞衣の怒りが届く。
こうなっては、いつまでもここに居るわけにはいかないだろう。
結樹は仕方なく奏空に声をかけた。

「そうだね…。」

奏空も帰らなければならないことは解っていた。
解ってはいても、足はなかなか前に進まない。

それは奏も同じなのだろう。
奏空の言葉に少し寂しそうに頷いた。


「舞衣さん、ごめんなさい。帰ってからお話します。透夜、帰りの為に扉を作ってあるからここにお願い。」

鈴音は奏空と奏を見て、結樹に目で合図し、パッと透夜に指示を出す。

『了解です。』

透夜が返事をしてすぐに、結衣の目の前に扉が現れた。

「用意がいいな。」

「当然です。」

結樹の言葉に鈴音は笑顔を見せる。


「じゃあね、母さん。」
「また来るね。」

『元気でね。』


そして5人は鈴音が用意した扉を潜り、次々と夢から覚めていった。