「どうして…?」

即答した楓に対し、奏空は哀しそうに問い掛ける。

『ここにいる私はただのプログラムだから…。もちろん、ある程度はシュミレーションをして回答を吹き込んである。だけどそれ以上の事は答えてあげられないの…。』

楓は哀しそうに答えた。

「…そうだよね。ごめん。」

奏空も哀しそうに頷いた。

(…¨ただのプログラム¨ってことは解ってたのにな…。)

奏空は心の中で解っていた。
それでも奏空は楓に聴きたかった事があったのだろう。


「奏空、行こう。」

俯く奏空に結樹は声をかけた。
結衣も奏も鈴音も奏空に笑顔を見せる。

「あぁ…。」

奏空は無理に笑顔を作って皆に答えた。


全員が奥へ向かって行った頃、楓が誰にも聴こえないような小さな声で最後に呟いていた。

『結樹、約束守ってくれてありがとう。』

その声は結樹にだけ届いたのだろうか?
結樹は¨当たり前¨と言わんばかりの笑顔をしていた。