「決まり。一緒に帰ろう。」

結衣は奏に手を差し出した。
小さな頃、一緒に帰る時に結衣と結樹は必ず手を繋いで帰っていた。

差し出された手を奏はじっと見つめた。

「あ…っ!!」

「え…っ?!」

奏が恐る恐る手を出した時、結衣は突然声を上げた。

「¨星のかけら¨!!」

「あ…。」

¨星のかけら¨のことを結衣も奏も途中から忘れていた。

¨星のかけら¨は奏空が見せたい星空を集めて作ったもので、奏空の想いがたくさん詰まっている。

『奏を連れて帰るのは難しいとは思うけど…星のかけらは渡してきて欲しい。見せたい空があるんだ。』

奏空にそう言われていた。

結衣は少し考えた。

(…私が渡すのは簡単だけど…。)

「¨星のかけら¨はやっぱり奏空からもらって。奏空、あなたに見せたいものがあるんだって。」

結衣は笑顔でそう告げた。
奏もコクンと一つ頷いた。