結衣は少し考えてから頷いた。
「良かった。それではホールでお待ちしています。支度が出来ましたらいらして下さい。」
鈴音は笑顔で会釈し、部屋を後にした。
起きたばかりの結衣は慌てて支度を始めた。
「お待たせしました!」
「そんなに急がなくても良かったのですが…。そういう所は似てますね。」
「え?」
「…いえ。行きましょうか。」
二人は並んで歩き始めた。
しばらく歩くと、前に人を見つけた。
それは結衣が間違えるはずもない…ソラと結樹だった。
二人は何か話していた。
「解ってるなら……あ…。」
結樹が二人に気付き、こちらを見ていた。
「ん…?」
何かを言いかけた結樹の視線が宙を舞う。
ソラはその視線を追い振り向いた。
そして結衣とソラは目があった。
ソラは驚いた顔をしていた。
「………。」
「………。」
結衣も驚いていた。
会いたかったが、まさかこんな所で会うことは考えていなかった。
何を話せばいいのかも解らない。
どちらからも言葉は出て来ない。
気の性かもしれない。
結衣はソラの瞳が哀しい色をしているように見えた。
「どうして…ここに…?」
ソラがその言葉を発するのにどれだけの時間が経っただろう。
他の人からすれば凄く短い時間のはずだが、長い時間に感じていた。


