飛べない鳥

『意味分かんねぇし』



俺は頬杖をつき、
唯の机がある方向を向いた。



唯はその場所には居なかった。



まだあの青空を見ているのか?



もう少しだけ一緒にいれば良かった……



『…と…遥斗…おーい?』


気が付いた頃には、
響が俺の顔の前でヒラヒラと手を振っていた。



『あぁ…何?』



『聞いてねぇのかよ…
佐藤先生な彼氏いないらしいんだ!』


響が笑顔で佐藤先生の話をし始めた。



『…興味ないな』



俺がこう言っても響は話し続けた。



俺はいつまでも、唯の机がある方向を眺めていた─……





……午前中で学校が終わるのは今日で最後だ。


明日からは通常授業が始まる。




俺は素早くカバンを持ち、下駄箱に向かった。


靴を履き替えていると後ろから、甘い声が聞こえた。


『また明日ね、遥斗』



俺は勢いよく後ろを振り返る。