飛べない鳥

『遥斗!おはよ!』



『お~…』



朝から煩いくらいでかい声の響。


俺の耳にその声が勝手に入ってくる。



俺は鍵を閉め、マンションを響と出て行った。



『なぁ遥斗?』



『あ?』


ニヤニヤと怪しい笑みを浮かべる響。



『恋出来て良かったな!』


忘れていた…


昨日響に見られてしまったんだ。



俺は響を睨み、弁解を試みた。



『あれはただ熱かっただけだ、恋なんかじゃねぇ』



これだけの弁解で、響を騙せるわけねぇよな。


もっと嘘が上手ければよかった。



『ふ~ん…あっそ~!』



やっぱり騙されていない。

俺はガックリと肩を落とし、菊地唯に会える学校に向かった。



今日確認をしよう。


もし菊地唯を見て、顔が熱くなったら、


俺は完璧に恋をしたという事になる。