飛べない鳥

俺は立ち止まり、
空を見上げた。



邪魔だよ、俺は月と星が見たいんだ。


雲を払い除けられたら、
俺はすぐに払い除けるのに…



そんな願いも届くことなく、雲は月や星を隠し続ける。



『つまらねぇ世界…』



俺は再び歩き出した。



すると向こうの方から、
仲良く手を繋いで歩いてくるカップルが歩いてきた。


暗くてあまり見えなかったが、すごく仲がいいことが伺える。


俺はそんな二人のカップルを横目で見ながら、通り過ぎようとした。



通り過ぎようとした時、
たまたま聞こえてしまったんだ。



『光輝、今日は星が見えないね?』



『そうだなぁ…』


『流れ星流れないかなぁ?そしたら誰かの願い事叶うのにね?』



『百合の願いは叶った?』


『叶ったよ?私の隣に光輝がいるもん』



俺はまた立ち止まり、
振り返り、カップルを見つめた。