飛べない鳥

『ちょっ遥斗!いっつも俺を置いてくな!』


『じゃあ誰だよ?早く言え』


下駄箱で靴を履き替え、
教室へと向かった。


まだどこに教室があるのか分からず、適当に足を進めた。



『…佐藤先生だよ…』



それを聞いた俺は、
足を止め、響の言った事を理解しようとした。


佐藤…?

先生…?



《佐藤美幸です!みなさん宜しくね?》


俺達の担任の佐藤か?


俺は思いきり後ろを振り向く。


『それって…担任?』


響は下を向いたまま頷いた。


『まじかよ…ははっ…響らしいわ』



『笑うな、ばーか』


滅多に人を好きにならない響が、担任に恋をした。


面白くないわけないだろ?


『行くぞ、響。愛しの先生に会いに』


『うるせぇ!』


響は俺を追い抜かし、
廊下を走って行った。



俺も恋をしたら響みたいに顔を真っ赤にするのかな?


想像も出来ねぇな。