飛べない鳥

『別にいいんじゃねぇの?』


俺はこう言って歩き出した。


響はまだ歩こうとしない。

次第に離れていく二人の距離。


『じゃあさ…その女と出会ってまだ浅いとしたら…お前はどうする?』



『は?知らね…つかお前何が言いたい訳?お前のか絶対女慣れしてんじゃん』



響を見ると、響の顔が真っ赤になっていた。


俺は、その響を黙って見る事しか出来なかった。


『好きな…人が出来たんだ…』


八重歯をチラッと見せ、
響は恥ずかしそうに笑った。


『…ふーん』


衝撃的な響の告白を、
俺はただこういうにしか言えなかった。


響は俺の方に駆け寄り、


『誰とか聞けよ!』


と赤い顔で言ってきた。


『聞いて欲しいなら聞くけど?』



『素直じゃねぇな!
えっと…えっと…』


中々言わない響に痺れを切らし、俺は響を置いて学校に入って行った。