飛べない鳥

彼女が小さい声で呟いた。


『大丈夫だよ?あなたなら出来るよ?私ね、後悔ばっかりあるの』



彼女の瞳から涙が一粒溢れた。



『後悔?』


空が夕日のオレンジ色に染まっていく。


雲は白からオレンジに。

空は青からオレンジになっていく。




『愛している人に愛してるってたくさん言えなかったから…』



『愛している人ってその指輪をプレゼントした人?』


俺は彼女の左手を指さしながら聞いた。



『うん…そう。やっぱ生きているうちに愛してるってたくさん言ったほうがいいのよ…』



彼女が言った《生きているうちに》という言葉が胸に刺さった。



確かに俺はいつ死ぬか分からない。


明日かもしれない、
明後日かもしれない。



生きているうちに、愛している人には愛していると伝えたい。


そう彼女から教わったんだ。