あの時の俺は、何故こんなにも笑顔だったのだろう?


いつから笑顔を無くした?

俺は洗面所へと行き、
鏡の前へと立った。


洗面台の電気を付け、
鏡の向こう側の俺を睨んだ。


自分の顔を手で触る。

つねったり、つまんだりする。


そして、歯を出して笑ってみた。


『笑え…笑顔になるんだ…』


命令しても従おうとしない、自分が拒否をしている。

なんてつまらない男だろう。


俺は何かがおかしい。

他の人間とは何かが違う。

『…嫌いだ』


俺は鏡の向こう側の俺に言った。


そして電気を消し、
ベットに座った。


俺は青空の写真を見て、時間を潰した。


『ご褒美?』


あの時、母親が言っていたご褒美とは何なのか?


何がもらえるのだろうか?


俺は涙というものも忘れていたようだ。


涙は、あの日で枯れてしまった。


あの、雪の日で…