飛べない鳥

時が止まった。


世界が止まった。


何もかも止まった。



そして…俺も止まった。


香織の言っていることが理解出来ない。



嘘だろ…?



何とか言えよ。



『おい、それは本当かよ?』


響が俺の代わりに香織に聞いてくれた。


『…唯には聞いてないんだけど、その美男子が自信満々に言ってたから…』



俺達三人を取り巻く、どんよりとした空気。


俺は、ゆっくりと顔を上げ、唯が友達と仲良く会話している窓際の方へと視線を向けた。



『…ゲーム終了…』



頭の中に、《ゲームオーバー》という文字がはっきりと見えた。



葵、俺の負けだよ。



『でもまだ分かんねぇだろ?美男子が勝手に言ったかもしれねぇじゃん!』



響が思いきり机を叩き、
香織に向かって怒りをぶつけた。