飛べない鳥

俺は唇を噛み、
先ほどの葵の笑った顔を思い出す。



…うぜぇ。


俺は拳を作り、思いきりベンチを殴った。



じんじんと痛さが伝わってくる。



『…運命の人…か…』



運命の人…

唯は誰を待ち続けているのだろう?



俺が唯の運命の人だったなら…俺は幸せなのにな…



汚い空を見上げて、
俺は途方に暮れていた。



すると、汚い空から一粒の液が落ちてきて、俺の頬を濡らした。



汚い空から落ちてきた液は、汚い色をしていない。


透明で、色がない粒。



世界は不思議だ。



雨が、次々と俺を濡らしていく。



『…20パーセント…当たりか』



今日、葵の唯への気持ちを聞いたら、俺は何も出来なくなってしまった。



葵の気持ちが俺の気持ちより大きい。



…やっぱ幼馴染みという壁を越えれられないのかな?