飛べない鳥

『俺、ずっと唯が好きなんだよ。お前が現れる前から。小さい時から俺は唯しか見ていなかった』



『…だから?』



空から激しい音が聞こえ始めた。



『お前に絶対唯を渡さない』



その瞬間、空に眩しい光が走った。



ドラマみたいな光景に、
俺は唖然としてしまった。


葵の強い気持ちを聞いたら、俺の気持ちがちっぽけに見えた。



俺の表情も曇っていく。



『…はっ意味分かんねぇ…唯はお前の道具じゃ…ねぇ…』



俺は夢と同じことを言っている。


正夢か?


そさたら葵にあの言葉を言われるのか?



…やめてくれ。


あの言葉を言われたら、
俺はまた暗い闇の中に引きずり込まれてしまう。



そんなの御免だ。


葵が口を開いた。



《お前は飛べない鳥だろ?》