飛べない鳥

快晴だった空が、
次第に雲行が怪しくなりつつあった。


まるで俺の心の状態を、
この空が表してくれているみたいだ。



唯は約束を信じるのか?


じゃあ何故、この前俺と同じ人間だと言ったんだ?


考えても無駄のようだ。


折角唯と話が出来ると思っていたのに、今の俺では、楽しく会話など出来ない。


唯を見ると、目が合ってしまった。


唯はにこっと笑い、
なにも言わないまま、俺を見ていた。



唯に見られているという感覚のせいか、体が硬直して動かなかった。



そんなとき、屋上のドアの閉まる音が響いた。



─バタンッ……



俺はとっさに後ろを振り向くが、そこには誰もいない…



『…誰かいたか?』


俺は唯に尋ねる。


唯は首を横に振り言った。


『分からないけど…』



『そっか…』


気のせいだといいのだが…

そんな世界は甘くない。