飛べない鳥

相変わらず重たいカバンを俺は持ち、駅の改札口に出る。


定期券を入れ、俺は駅の向こう側の街に進んだ。


すたすたと足早に歩く俺の後ろを必死になって響がついていく。



『な?俺ってすげぇだろ?』



『はいはい』


見え始める学校に、
ワクワク感とドキドキ感が芽生える。


響も俺に負けないよう、足早に向かう。



響は早く先生に会いたいのだな、と響の目を見れば直ぐに分かる。



キラキラと輝いていたから。


俺達の目的はそれぞれだが、好きな人に会いにいくことだけは一致していた。



そして俺と響は、同じ足で、学校に一歩踏み入れた。


ようやくこのくそ重たいカバンから解放されそうだ。


階段で教室に行き、
重たいカバンを机の上に置き、俺は猛スピードで屋上に向かった。


響もどこかへ行ってしまった。


きっと先生のところだろう。



『頑張れよ』



俺は響の後ろ姿を見ながら、こう呟いた。