腕を掴んで引き寄せられると、水から一気に引き上げられて、担がれた。

「ったく、夢最低な男と付き合ったな!」

「…怒ってるの?」

「心配過ぎて怒ってる!」
春は、顔面パンチされたらしく、鼻血を垂らしながら地面にはいつくばっていた。

「夢…。」

春はそれでも、あたしを見ると泣きながら訴えてきた。だが、あたしは何も言えなかった。春がもし、死ぬとしたら救いたい。それは、一人の人間として救いたいということ。

だけど、政樹が一番大切だから、何があっても裏切らない。密なんか、渡せるはずもないし、リングが片方しかないなら意味がないかもしれない。