二章 幸せ
「パパ、朝だよ」
寝室のベッド。高濱の身体の上には娘の楓が乗っかり、高濱はその重さにもがく様に呻き声を上げる。
「う……ん……」
日曜日。惰眠を貪る高濱を、楓は乱暴に起こしに掛かる。
「今日は約束のドライブの日だよ」
楓の執拗な攻撃に、高濱は降参と云う風に起き上がると、楓を抱き抱えベッドから降り立ち時計を見上げる。
「九時、か」
窓の外。晴天に恵まれた空は、楓の気持を高揚させている。
「早く行こうよ」
娘の満面の笑顔に、高濱は軽くキスをして下ろし「部屋で準備をしていなさい」と優しく云い残し、洗面台に行き顔を洗い、シェービングクリームを顔に塗り髭を剃る。
―さて、何処に行くかな。
高濱は寝ぼけた頭をスッキリさせ、鏡の中の自分に問い掛ける。元々、何処に行くだとかの場所は考えて無く、家族サーヴィスの一環として曖昧に返事をしただけの為、今日の休みにドライブに行くと云う事をすっかり忘れていた。
―まぁ良いか。
数分程鏡を見て逡巡していたが、結論の出ない悩みに終止符を打つ様に再度顔を洗い、キッチンへと向かう。風の向く侭に。高濱はそう自分に云い聞かせて椅子に座ると、美奈子が出掛ける準備をしていた。
「あら、やっと起きたの?」
「パパ、朝だよ」
寝室のベッド。高濱の身体の上には娘の楓が乗っかり、高濱はその重さにもがく様に呻き声を上げる。
「う……ん……」
日曜日。惰眠を貪る高濱を、楓は乱暴に起こしに掛かる。
「今日は約束のドライブの日だよ」
楓の執拗な攻撃に、高濱は降参と云う風に起き上がると、楓を抱き抱えベッドから降り立ち時計を見上げる。
「九時、か」
窓の外。晴天に恵まれた空は、楓の気持を高揚させている。
「早く行こうよ」
娘の満面の笑顔に、高濱は軽くキスをして下ろし「部屋で準備をしていなさい」と優しく云い残し、洗面台に行き顔を洗い、シェービングクリームを顔に塗り髭を剃る。
―さて、何処に行くかな。
高濱は寝ぼけた頭をスッキリさせ、鏡の中の自分に問い掛ける。元々、何処に行くだとかの場所は考えて無く、家族サーヴィスの一環として曖昧に返事をしただけの為、今日の休みにドライブに行くと云う事をすっかり忘れていた。
―まぁ良いか。
数分程鏡を見て逡巡していたが、結論の出ない悩みに終止符を打つ様に再度顔を洗い、キッチンへと向かう。風の向く侭に。高濱はそう自分に云い聞かせて椅子に座ると、美奈子が出掛ける準備をしていた。
「あら、やっと起きたの?」


