「犯人は愉快犯だと云う事以外には、細かい目撃証言が乏しくて、捜査は難航しました」
「それで?」
「諦める。幾度と無く考え続けたんです。どれだけ僕が悲しんでも、死んだ彼女が生き返る訳じゃ無いって。でも、駄目でした。如何しても諦め切れずに、僕は、警察とは別に、目撃証言を独自で集める事にしました」
「その犯人が、石川だって云うのか?」
「半年です」
「半年?」
「時間の許す限り、半年間目撃証言を集めた結果、犯人の顔に良く似た人物の仕事先を突き止めました……」
「柊印刷所の事か?」
「そうです」
 思わぬ告白に高濱は軽い眩暈を覚える。眼の前に座っている瀬戸は、復讐の為だけに、確実な証拠の無い侭に柊印刷所で働いている石川に近付こうとした。
「若しも違えば、又探したら良いだけです。でも、その矢先に、高濱先輩が事件に巻き込まれ、犯人の石川先輩を看破した」
「しかしだ。それだけで、君の恋人の犯人だと決まった訳じゃないだろう?」
 困惑気味に喋る高濱の言葉を、瀬戸は首を左右に振り否定する。
「殆ど毎日、関連事件が明るみになっていますよね?まだ、報道はされていませんが、警察から、彼女の遺留品が見付かったと連絡が有りました……」