「え!かおりが!」
 紗那は亜紀からの電話だった。
 

 「かおりちゃんがリストカットしてて、みゆきと晴香と一緒に過ごしてた時にいきなり手首を切ったんだって」
 
 「そっ・・・か、わかったありがとう」
 「ねえ、紗那?
  もしかして、知ってたの?」


 亜紀の質問には答えず、紗那は電話を切った。


 知らなかった、とは言えなかった。
 でも、
 知ってる、とも言えなかった。


 亜紀の訊き方が、知らなかったの?じゃなくて、知ってたの?だったから・・・かな。
 なんとなく、それが気になった。