「ならば、もっと晴れやかな顔をしたら良い」
「そう、ですよね」
ママがホットウィスキーを差し出し中座する。店の中。私達は並んで酒を飲んでいる。
「望んだ結果の先を見て、何か分かったかい?」
「……複雑です」
「何故?」
「僕は、田中夫妻の最後に立ち会う事が出来ました」
「聞いたよ」
「確かに田中夫妻は、最後に自分の人生の幕を自分で引きました。だけど……」
「だけど?」
「残された、僕の気持は凄く複雑です」
「生きている証だと思う事は出来ないかい?」
「そう云う考え方も、あるんですね……」
「何処にでもある平凡な人生が幕を閉じた。それだけだよ」
「確かに、そうかも知れません」
「現に、ニュースで報道される事は無かったじゃないか」
「不可解です」
「簡単な事さ。社会的な注目度と云う点では限り無く低く、もっと大きな事件である汚職事件に喰われただけだ」
「背景に何があっても、注目度が左右されるんですね」
「それが、今の日本だ」
「新聞の端。介護疲れの末の不可解な死。それ以上の後追い記事は無かったです」
「坂部君。君はこれから如何して行くんだい?」
田中夫妻の部屋の中。坂部は涙乍らに田中と約束をした事がある。
「署名を集めようと思います」
「署名?」
「そう、ですよね」
ママがホットウィスキーを差し出し中座する。店の中。私達は並んで酒を飲んでいる。
「望んだ結果の先を見て、何か分かったかい?」
「……複雑です」
「何故?」
「僕は、田中夫妻の最後に立ち会う事が出来ました」
「聞いたよ」
「確かに田中夫妻は、最後に自分の人生の幕を自分で引きました。だけど……」
「だけど?」
「残された、僕の気持は凄く複雑です」
「生きている証だと思う事は出来ないかい?」
「そう云う考え方も、あるんですね……」
「何処にでもある平凡な人生が幕を閉じた。それだけだよ」
「確かに、そうかも知れません」
「現に、ニュースで報道される事は無かったじゃないか」
「不可解です」
「簡単な事さ。社会的な注目度と云う点では限り無く低く、もっと大きな事件である汚職事件に喰われただけだ」
「背景に何があっても、注目度が左右されるんですね」
「それが、今の日本だ」
「新聞の端。介護疲れの末の不可解な死。それ以上の後追い記事は無かったです」
「坂部君。君はこれから如何して行くんだい?」
田中夫妻の部屋の中。坂部は涙乍らに田中と約束をした事がある。
「署名を集めようと思います」
「署名?」

