ポトリ、ポトリと点滴が静かに落ちて行く。喋れるとしたら五分程だ。束の間とも思える五分だけだが、最後の言葉を交わすには十二分な時間だ。予定の時間である午前零時には、田中は遺体とかしている。
「光さん」
「はい」
「本当に有難う。ワシ等の為に、危険な橋を渡らせて本当にすまんと思っとるよ」
「そんな事は有りません……」
「言葉にすると凄くチッポケな風に聞こえるかも知れんが……本当に有難う。この言葉が全てじゃ」
「また、会えますよね?」
「ああ。少しだけ、ワシ等は先に逝っているだけじゃ」
刻一刻と時間が刻まれて行く。最後に別れが出来る死に様と云うのは、一見残酷な様に見えて、実は幸せな事なのかも知れない。残された人に最後の言葉を残して逝ける。田中は、皺だらけの顔をクシャリと歪め、坂部に優しい視線を向けて呟く。
「梅子……」
田中が妻の名前を呼ぶ。時計は二分を過ぎている。
「……あ……」
梅子が微かに声を上げる。田中が横に寝ている妻に視線を寄越す。
「あ……なた……」
生命の本能が梅子の脳を、身体を突き動かす。
「梅子!」
「貴方……」
「意識が戻ったんだ!」
坂部が驚きと同時に立ち上がろうとするのを、関がグッと坂部の身体を押さえ込む。
「動いたらあかん」
「でも!」
「約束や」
冷酷な程に冷たい言葉で関が坂部の肩を押さえ込む。
「光さん」
「はい」
「本当に有難う。ワシ等の為に、危険な橋を渡らせて本当にすまんと思っとるよ」
「そんな事は有りません……」
「言葉にすると凄くチッポケな風に聞こえるかも知れんが……本当に有難う。この言葉が全てじゃ」
「また、会えますよね?」
「ああ。少しだけ、ワシ等は先に逝っているだけじゃ」
刻一刻と時間が刻まれて行く。最後に別れが出来る死に様と云うのは、一見残酷な様に見えて、実は幸せな事なのかも知れない。残された人に最後の言葉を残して逝ける。田中は、皺だらけの顔をクシャリと歪め、坂部に優しい視線を向けて呟く。
「梅子……」
田中が妻の名前を呼ぶ。時計は二分を過ぎている。
「……あ……」
梅子が微かに声を上げる。田中が横に寝ている妻に視線を寄越す。
「あ……なた……」
生命の本能が梅子の脳を、身体を突き動かす。
「梅子!」
「貴方……」
「意識が戻ったんだ!」
坂部が驚きと同時に立ち上がろうとするのを、関がグッと坂部の身体を押さえ込む。
「動いたらあかん」
「でも!」
「約束や」
冷酷な程に冷たい言葉で関が坂部の肩を押さえ込む。

