リアル

 身体が揺れる。私は寝ぼけた頭を左右に振り眼を覚ます。
「ぼちぼち時間やで」
「分かっている」
 腕時計を見ると時間は二十二時を越えていた。頃合の時間だ。私はソファーから身体を起こして全身に神経を張り巡らせる。痺れる様な感覚が全身を包み眩暈を覚える。薬が切れている。視界が曖昧に霞み出す。
「顔色、えらい悪いな」
「行き成り、薬を止めたからね……」
「禁断症状か?」
「ああ」
「これを飲んどけ」
 関が懐から錠剤を取り出して寄越して来る。
「これは?」
「ワシの特性解毒剤って所や。超即効性で、バッドトリップの状態を緩和する効能があるんや。本気で薬と手を切る気があるなら、飲んだらええ」
「頂くよ……」
 白い錠剤。私は錠剤を口に放り込み水で飲み下す。
「五分程度で効いて来る筈や」
「コーヒー豆はあるか?」
「インスタントなら、そこの棚に入っているで」
 私はふらふらと棚の前に行き、インスタントコーヒーの蓋を開けて、スプーン一杯分の豆をコップに入れて水で溶かして飲み下す。
「豪快な事やりおるなぁ」
「一番手っ取り早いんだ」
 ソファーの上に横になり眼を閉じる。身体から毒素が抜けて行くのが分かる。徐々に、身体に感覚が戻って来る。
「車の運転、頼んで良いか?」
「構わんで」
「車の中で、もう少しだけ身体を休ませるよ」
「分かった」
「店に迷惑掛けるのもあれや、裏口から出るで」
 関が短く指示して先を歩く。階段の脇。裏口の扉を開けて外に出ると、白い軽のバンが止まっている。
「知り合いに借りた車や」
 関が運転席に乗り込みエンジンを掛ける。私もふら付く足取りで助手席に乗り込み、シートを横に倒して身体を弛緩させる。