リアル

「社会の歪が生んだ犠牲者や」
 議論と云う訳では無いが、自然と私達は真面目な顔で話をしている。互いに真っ当な仕事をしている訳では無いが、需要と供給の上で成立している商売にはなる。だが、利権を貪る奴等に対しては、互いに反吐が出る思いを持っている。個人で解決出切る責任の範囲を越えても、権力があればヌルリと生き抜く事が出来る。私は言葉に出来無い苦い思いを洗い流す様に、麓が作ったハイ・ボールを思い切り煽る。
「そう云えば、あんさんは昼間は真っ当な仕事もしてる見たいやけど、何してるんや?」
「パチンコの攻略法の売買さ」
「何や、ケッタイな仕事しとるなぁ」
「ケチな仕事だよ。売っている物は情報に成るが、勿論嘘っぱちだ」
「人間の、業の深さを思い知らされる商売やな」
「確かにね」
 嘘の情報が売れる。関はその辺りを察して答えたのだろうが、不思議な男だ。何故かこの男の前では下手な嘘を付く必要を感じない。
「私はケチなサラリーマンだよ」
「人生色々ってこっちゃな」
 懐から煙草を取り出す。