リアル

だが、国はそう云った方法論は提示せず、国民の負担を一律に決め、不確定要素の入らない方法で引き上げ後の試算を弾き出し、その数字の為だと云う大義名分の元に医療負担等の引き上げを決定する。果たして、坂部の選んだ方法は本当に非難されるべき行動なのだろうか。暴論だと思われるかも知れないが、本質的な問題点は社会にある。社会とは人の集合体の事を指す。人が寄り集まって街が出来、市が出来て国家が出来る。だが、寄り合う人が増える程に色々な思惑や欲が交錯し、談合等の不正が行われる。本来、談合や賄賂等の不正を行なっている人間こそ断罪されるべきである。だが、実際にはそこ迄の罪を負う事は無い。釈然としない。納得の出来無い不可思議な現象だと坂部は思う。不正な金の流れを断ち切れるのであれば、もっと違った社会に変貌するだろう。だが、人は罪の深い生き物でもある。自己の欲望の為に他人を欺き搾取する。坂部の心の中には色々な思いが浮かんでは消えて行く中、複雑な思いを噛み締める様に街を見下ろし、華やかなネオンが彩る街を背にその場を後にした。