リアル

「私に細かい話をしても意味は無いわ。どちらにせよ伝えておけば良いのね?」
「お願いします」
「帰るの?」
 坂部がズボンに手を突っ込むのを見て、ママが優しく声を掛けて来る。
「遅くなり過ぎると、両親が心配しますから」
「分かったわ」
 坂部が財布を取り出し「幾らですか?」と聞くと、ママは頭を左右に振る。
「依頼人から非合法な料金を取っているのよ、御代は頂かないわ」
「その……御馳走様でした」
 坂部は丁寧に頭を下げて店を出る。
ヒヤリと、肌を突き刺す寒気が坂部を襲う。空。星がネオンの光に負けぬ様に煌々と光り輝き、三日月が優しい光を街に降り注ぐ。坂部は屋上の端に移動し、金網越しに街を見下ろす。この眼で見える街は平和に満ち溢れている。