リアル

「今の日本の法律では難しいと云う事は良く理解しました。でも、それじゃあ、僕達周りの人は何も出来無いと云う事ですか?」
「お前さんも話は聞いとったやろ?どれだけお前さんが悩んだとしても、それは答えの無い迷宮でしかないんや。それでも、その夫婦の問題を解決したいと思うんやったら、法律を破る豪腕に頼るしかあらへん」
「法律を破る、ですか?」
「坂部君も薄々と気が付いとる通り、それは自分の手を汚してその夫妻を解放してやるって云う方法や。つまりは、殺人を犯す事に成る。逆に云えば、その覚悟が無くて悩むのは愚の骨頂って云うか、絵に描いた餅と同じで意味は無い。悩んでいる自分に酔いしれているだけや」
 答えを捜し求めている坂部に対し、関は思い切り突き放した言葉を突き付ける。殺し以外に救う方法は無い。関程に言葉は持ち合わせてはいないが、私自身も辿り付いた答えはそれ意外には無い。
「そんな事は……」
「自分に酔いしれとるだけや。その事を認めんと先には進まへん話や」
「先に、ですか?」
「答えは簡単な事や。平たく云えば、その田中夫妻を殺してやったら望みは叶うんやからな。最も、当事者である本人が行なうのが一番やけど、その一線を当事者が越えるのは中々如何して難しいのも事実や。他人やからこそ、超えられる一線と云うやっちゃな」