リアル

「難しいね」
「簡単に云えば、法律的な整備が完全で無い状態で、医療的な方法で患者を殺した場合、自殺幇助罪で訴えられるんや。幇助で捕まらん場所って云うたら、ミシガン州位やな。ミシガン州には自殺幇助罪と云う法律が無くて、ゲボーキアン博士と云う人が、医療的な安楽死を施しとるけど、日本では中々難しい話や。一応、現在の医療で根冶の可能性が無くて苦しんでいる人に対してのみ、日本尊厳死協会と云うのが延命処置を拒否する消極的安楽死と云うのはあるけれど、患者が求めてるのは安楽やから。論点が微妙にズレとる」
「つまり、要約したら如何なるんだい?」
「その田中って爺さんが云うてる内容の事は、法律的にも倫理的に実現させるのは難しいって事や」
関は、グラスを片手にとぼけた口調で結論を弾き出す。
今迄の内容を冷静に捉えると、関は恐ろしく理路整然と坂部の考えている悩みを全面的に否定し、坂部が俯いた顔を上げて関に話し掛ける。