リアル

麓が呆れた声を上げて視線を私達に向けて来る。視線の先には私の見知った顔が此方に向けられた。
「おっ?何やお前さんかいな」
 関和弘が軽く手を上げて私達の関に向って来る。
「奇遇ですね」
 私が席を立ち軽く頭を下げると、関は麓に視線を向けて「ホットウィスキー」と注文をして、他のボックス席から椅子を移動させ、私達が座っているボックスの手前に椅子を置きドカリと座る。
「お前さんとこんな所で会うとは思わんかったわ」
「私もですよ」
「此処はワシのアジトやからな」
「マスターと知り合いですか?」
「知り合いもなにも、ワシの昔からの友達やからな」
 関が懐から煙草を取り出し乍ら話をしていると、麓が私と関のグラスを持って来る。
「腐れ縁と云うやつだよ」
「琢磨、そこは親友と云うて欲しいわ」
 関の独特の話し方と麓の冷淡な受け答えが漫才の様に見えて来る。それだけ深い関係と云う事だろう。
「それで、お前さんが何でこんな所に居てるんや?」
関がホットウィスキーを飲み乍ら、私に話を振って来る。