リアル

「路地から呻き声が聞こえたんだ、ほっとけないな」
「あん?」
 男は苛立つ声を上げて表通りに出て来る。高校生風の餓鬼が二人。痩せこけたチビと、ガタイの良い大男。典型的なチンピラだ。
「怪しいな」
「何云ってんだ?」
「奥に誰か倒れている。どうせ因縁を付けたのはお前等だろう?」
「だとしたら、何だってんだ?」
「大人しく家に帰りな」
「カッコつけるね」
 デカイ方が、喋り終わると同時に右の上段蹴りを出して来た。衝撃。左腕でガードをし、一歩踏み込み男の顎に右のアッパーを叩き付ける。男は出て来た路地に戻される様に弾け飛ぶ。
「威勢が良いのは、初めだけか?」 
 男が呻き声を上げて立ち上がろうとする。私は一気に男に詰め寄り、右の蹴りを男の顎に叩き付ける。
「ぐあっ!」
 チビの男は、私の一方的な攻勢にビビッタのか立ち竦んでいる。
「ボウヤが粋がるのは勝手だが、力の差を見抜く方法位は覚えて置くんだな」
 駄目押しの蹴り。男は派手に引っくり返り意識を失ったのか、ピクリと動かなく成る。
「おい、コイツを連れて行けよ」
 震え上がっているチビの様子を見る限り、アウトローを気取った程度の奴らだったのだろう。私は倒れた男の脇を通り抜け、奥に横たわっている男の元に歩いて行く。
「大丈夫か?」 
「うっ……」
 年の頃なら二十代後半だろうか、短髪で体格の良い男が横たわっている。
「歩けるかい?」
「すいません……」
 足取りが明らかに重い。何処か怪我でもしているのだろう。私は男の肩に手を廻して立ち上がらす。
「救急車、呼ぶかい?」
「いえ、大丈夫です……」
 思った程には怪我をしている様子は無い。だが、到底自由に歩き回れるとも思えない。私は男を支え乍ら路地を抜けて辺りを見回す。視界の端に『オールドパル』と書かれた看板が視界に入る。
「蹲っていても仕方が無い、場所を移動しよう」