“コンコン”


あ、翠央だな。


部屋のドアをノックする音に反応して、俺はすぐに立ち上がった。


顔は既に緩んでいるのが自分でもよく分かる。


ドアを開けると、掃除用具を持った翠央が緊張した面持ちで立っていた。


午前中は食事の片付けが終わると翠央は片桐さんと一緒に家の掃除をしている。

俺の部屋は、最初、片桐さんと一日交代で掃除に来ていたけど、最近は毎日翠央に来てもらってる。


その方が二人でいられる時間も増えるからな。