「で、用意したのが……これ?」

大学を休んだあたしを心配して、家まで来てくれた直子は、うちの庭を見て大きくため息をついた。

「そんなにため息をつくと、幸せが逃げていくわよ?」

ため息を一回つくと幸せがひとつ減っている、と聞いたことがある。

直子の幸せを考えて言ってあげたのに、彼女はジロッとあたしを睨み……。

「こんなことをする親友を持って、幸せなわけないでしょ」

山積みにしたワラ人形を指でさした。

「ちょうどよかった。直子も一緒に作ってよ。まだワラが残っ……」

「作るわけないでしょ! あんた、どこまでバカなの!?」

またしゃがんで編み始めたあたしの手から、ワラを奪い取る彼女。

「なにすんのよ」と文句を言ったら、ポカッと頭を叩かれた。