「とんでもない悪女だわ! フレッシューバーガーのセット、サラダのほうで! ドリンクはカフェラテのM!」

バンッとカウンターを叩いて、早口で注文。


次の日の午後、大学を後にしたあたしは、直子のバイト先を訪れている。

「……かしこまりました」

向かいに立つ直子は、表情をひとつも変えないで、レジのボタンをポチポチ押した。

「聞いてる?」

「聞いてるわよ。フレッシュバーガーのサラダセットで、ドリンクはカフェラテ……Mサイズでしょ?」

入店してから2~3分、長々と昨日の出来事を話したのに、直子は素っ気ない。

てか、あたしが聞いてほしいのは注文じゃなくて……。

「どう思う? 笹野京香」

あの女のことなのに。