熱い首筋に、ぬるりと舌が這う。

逃げる腰を引きよせた広い手に抵抗できずにいた。

「ん……ァ…ん」

「美波、少し黙って…」


 思わず零れた吐息に、開いた唇から彼の長い指が口に侵入してきた。

触れるたびに反応してしまう身体に、思わず舌を噛んでしまわないよう、震えるように口を結んで堪えた。


 静かな教室に、衣擦れと交わる息遣いが響く。

うっすら開けた瞼の向こうで、彼の乱れた襟もとから微かに漂う名前も知らない香水。

甘く鼻をくすぐるそれは、まだまだ未熟なあたしが酔うには十分だった。


 目眩すら起こしそうな意識の中、するりと伸びたたくましい腕は、背中から腰、そして太ももへと移る。
そして制服のスカートの裾がめくれあがる感触。

一気に血の気が引くのを感じて、思い切り分厚い肩を押し返した。


「ちょ、ちょっと待って……!」

「なんだよ」

「な、ナニって…ここ、教室だよ!?」


 扉のすぐ隣の壁を背に、あたしは思い切り厚い胸板を押しのける。

小さな窓がついているドアからは死角にはなるものの、こんなところで、“ソンナコト”できるわけがない!


 けれどあたしの必死な訴えを、目の前のオトコは小首をかしげる。


「……誰もいないけど?」

「そ、そうじゃなくって……!」


 あたしだって熱くさせたカラダをなんとか理性で堪えているのに。


「じゃあ問題ねぇじゃん」

「大アリよ!」

 さらりと爆弾発言だ。