「このあと…時間空いてるか?」

「………。」

今すぐにでもここから立ち去りたかった。
あまりの恐怖感に体が震えた。

足もまるで何かに捕まれたかのように動かない。

(動け…動け…!!)

気がつけば教室には私たちしかいない。

恐怖感はさらに増した。


「お前…」


ガシッ!!!

「っ!!」

両肩を力強く捕まれた。

(殴られる…!!!)






「凄かった!!!!」


「……え?」

(今…何て言った?)


「お前野球できたんだな!!しかもなかなか良い球投げるじゃん。もしかして野球やってた??」

「えっ…あっ…ん??」

(怒ってない…何で?)


美咲はただ焦った。

怒るどころか
まるで新しい玩具を見つけ、興奮している子供のような目で見つめられているのだから。


「あっ…いきなり悪い。」

かと思えば今度は“シュン…”と効果音がつきそうなくらい落ち込んだ菅谷くん。

美咲は慌てて
「ううん。大丈夫だよ。」
と答えた。


「あの…怒ってないの?」

美咲は疑問に思ったことを聞いてみた。